各質問をクリックしてください。
Q701 耐震診断と耐力度調査は、どこがちがうのですか。
単刀直入に言って、建物をまだ使つもりでいるのか、壊そうとしているかです。
昭和56年6月に建築基準法が改正されたことにより、それ以前の建物は、古い構造基準により建てられています。よって、それらの建物は、当然現在の構造基準を満足するはずが無く、大地震に対して不安要素を含んでいます。だからといって、すぐに解体するわけにも行かないので、耐震補強をすることにより、現在の構造基準には合致しないが、その耐震レベルまで強度を上げようと言うのが「耐震改修促進法」のねらいです。耐震診断は、耐震補強をする前提として、建物の耐震性能を数値で評価する方法です。
一方、耐力度調査は、主に学校建物に用いられ、建物を調査して、その結果を点数で表します。その点数が、あるライン以下なら、その建物は解体して、新しい学校を作りましょうと言う調査です。
Q702 耐震補強をした私の建物は、大地震がきても、びくともしないのですね。
耐震補強の主旨は、大地震が起こったとき、人が安全に逃げられるルート及び逃げられる時間を稼ごうというものです。決して、建物が壊れないことを保証するものではありません。
我々は、耐震補強計画をするとき、壊れても良い梁、壊れてはいけない柱等を想定します。又、柱の中でも第1に壊れる柱、その次にひび割れる柱を割り出します。それらを順に追っていくことにより、最終的な避難ルートを確保していきます。
地震がおさまったら、必ず安全な場所に避難して下さい。天井から照明器具が落ちてくるかもしれませんから。
Q703 2x4工法は地震に強いと聞きますが、本当でしょうか?また、設計事務所さんでも、出来るのでしょうか?
2x4工法とは、あくまでも俗称で、正式には、枠組壁工法といいます。
壁が地震に抵抗する耐力壁を形成し、壁と床で一種の箱を形成しているため、柱というものは、存在しません。
よって、在来工法より地震に対して壁の強度があることは確かです。但し、地震に強いとは、一概には、言えません。
それは、バランス良く耐力壁を配置し、基準に沿った構造計画と施工がなされているかどうかです。
構造基準としては、昭和57年建設省告示第56号で規定されています。 ですから、当然、設計事務所でも採用できます。
では、なぜ設計事務所であまり採用されないのかというと、設計の自由度が少ないからです。
箱を形成しなければなりませんから、吹き抜けとか、壁の位置におのずと制約がでてきます。
それと、増改築すると建物の剛心が変わり、建物に偏心がおこってしまうため、ちゃんと構造計画をたてないと非常に弱い建物になってしまいますから、安易に増改築はしないでください。
あと、輸入木材による壁の合板がシロアリによる被害を受けやすいとも言われています。
Q704 建物の構造体を何(木造、鉄骨造、等々・・・)にするのか、というのはそれほど重要な事なのでしょうか?
「木をふんだんに使った家にしたい」「鉄骨ならシロアリにあわないだろう」「壁は、コンクリートの打ち放しがいい」
この様な場合は、おのずと構造体は、決まってしまいます。
しかし、その様な特別な思い入れが無い限り、構造計画として言うならば、構造体は、プランと性能とコストに付随して決定されるものです。
大空間を形成したいプランでは、鉄骨造が有利です。遮音性能から言えば、RC造でしょう。コストでは、やはり木造でしょう。
様々な要求を満足させるために、適切な構造体を選択することは、構造設計者として非常に大切なことです。