「三角の敷地に三角の家」批評
               清 家 清
森永俊弥(敬称略)の住宅は、狭い三角の敷地に巧みに三角のプランを填め込んだ。勾配の屋根がまた 巧みに三角のエレベーションを構成している。RC 造の寝室+浴室を1階に、その上に木造のLDKとアチック(小屋裏)は3階の子ども部屋になって、セクション(断面)の中に巧みに填め込まれていて、一分のスキもないという感じ。
 玄関の沓脱ぎの四半円が、扉の軌道と同心円にな っていて、カムインと扉を開いたときにも、下足が その同心円の余裕の中に嵌合するところとか、その 玄関扉をゲッタウトと外へ開いたときも、敷地境界 内に収まるところなど唯タダ感心するばかり。三角 の敷地の巽(タツミ)の隅に植えた樹が大木に育っ たとき/20年後、この子ども部屋の子どもが独立す るか、あるいは1階に住むかは、その秋になって考 えればよい。21世紀にはまた21世紀の風が吹く。
 近ごろ珍らしくよく練られたプランとエレベーシ ョン。そして断面/むかしプランニング イン ザ、 セクションと云っていた人がいた。森永俊弥はそれ ができる人のようだ。
選者は、「違いがわかる男」(ネスカフェのCM)の清家清先生。私が30才余りの時の作品に対して評論していただいた。その後、住宅設計の面白さが、だんだんわかってきた