家の「原点」
といったものとは
 三叉路がいくぶん南北方向に勾配をもって、三角形の敷地に接している。道路をはさんで向い側に小公園がある。2階あたりから見える小公園の景色がよいので、リビングルームなどのセミパブリックスペースは、2階に設けるような話がすぐ決った。
 したがって、ベッドルームなどのプライベートスペースは1階になるので、防音や防災面を考慮して、1階のみをコンクリート造にした。
 一方2階、3階は木造である。木造のダイナミックな面は小屋組にあるので、露出状態の完全さ、木部の強調の意味で、床や屋根材を建築工事の足場用板材を流用している。
 2階、3階には内部の間仕切はない。できるだけ広々とした固有の空間をつくりだすためである。平面的に変形した部屋が多いための使いづらさは、各ヵ所に造りつけた変形の家具によって、ずいぶんと是正されている。
1982年 新住宅社賞
三角の家
京都市 
専用住宅
RC造+木造 3階建
建築面積 38.03u
延床面積 91.92u
住宅建築'86年6月号/新住宅(8205、8303) 掲載