① ロケーション




 「帝塚山中」は古くからの帝塚山の中でも中心をなす。現状の変化は、お屋敷街の中にちらほら、3~5階程度の高級マンションができていくか、大区画のお屋敷が小さく分筆され、戸建てが建っていくなど、混在の中にある。この敷地は、いったんはマンション用地としてまとめられた2筆(600坪)を入手され、利用としては、ひとつの建物での住宅づくりを目指されていた。私自身このエリアの近くで、事務所を始めた事もあり、以前より土地勘があり、数年前もこの敷地の斜め前の別の住宅のプレゼンテンーションを行った事もあり、その時、想い描いた残像があった。今回は、これだけ広い敷地なので、充分プライベートな外部空間が建物群の中に取り込める。従って、外部に対しては、織りなす緑の端正な形態と表情を考慮した街並みづくりを考え、生活の表情はストリートにはほとんど表現されないと考えた。
② コンペの中でのコミニュニケーション を通じての提案・・・住宅の意味の拡大をめざして


 クライアントからは、ニつのファミリーの利用だけでなく、ゲストハウスを併設し、600坪の敷地いっぱいの利用の提案を求められた。基本的には東側に、2世帯の住宅。西側に、ゲストハウスをつくりたいとの意向であり、親子の両ファミリーの生活とその社会的交流の場所づくりの訳だが、これだけの話を聞いても、その奥に内在する意味は計り知れないものがあろうと思われる。私自身この住宅の可能性への認識をより深化させて望みたいと考えた。
 私は、カリフォルニアの住宅などの経験から、どんな小さな住宅でも、ファミリーゾーンとゲストゾーンがきれいに分けられたアメリカ住宅に関心を払ってもきた。かつ、「住宅は機能を離れて、リゾート空間に近づいていく」とも常々述べてきたが、再度、住宅の意味を問いなおす必要がある。 私たちは、自己をみつめ直す「ライフプラン」(目標設定)をつくる作業の中で必ず個人(教養)、会社(業績)、家庭(夫婦)といった三つのフィールドに大別して、自身を分解して考える作業がでてくる。
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